ベストポケットコダック
 Vest Pocket Kodak、大正元年に発売されたロールフィルムカメラ。頭文字をとって米国ではVPKと呼ばれて親しまれている。

 一方、日本ではこのカメラについている単玉レンズに人気があり「ベス単」の愛称て知られている。単玉レンズと言っても実際は2枚のレンズを張り合わせた立派な色消しレンズである。レンズの前についているフードを外しても色は乱れず、球面収差だけが増えるので本格的な軟焦点レンズとして機能するのがその理由である。虫めかねではこうはいかない。従ってVPKそのものの撮影よりこのソフト効果をねらった使い方に人気があったようだ。レンズの前に付いているフードは、一般のレンズフードというより絞りが必要以上に広がらないように制限するもので、F11以上には開かないようになっている。普通に撮影してみるとシャープなコントラストの高いネガがえられる。

 軟焦点レンズはソフトフォーカスとも呼ばれポートレートなどに向いている。当時はベリート(VERITO)というポートレート専用の軟焦点レンズが有名であったが、ベス単は安価に似たような効果が得られることから特に日本のアマチュアカメラマンに人気があった。現在でもベス単レンズの愛好家は多い。
Vest Pocket Kodak


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